工場が立ち退いた後に高層集合住宅などが建設され、人口・世帯数も漸増。しかし寝屋川を放流先とする下水処理場が3つある地区でもあり、地域の住環境の改善向上ならびに区民・地域住民が「集い・憩い・くつろげる」場所の確保は重要な課題であった。
そこで住民サービスの一環としてとして処理場上部空間を市民農園、オープンスペースとして整備した。
このプロジェクトは下水処理場の上部空間を利用し、市街地において緑豊かな広場空間、せせらぎ、市民農園を整備したものである。
処理場上部の利用であり、土地・建物ともに大阪市が所有
工場跡地に新たに高層集合住宅が立地するなど、人口・世帯数が増加しているため、地域住民にとっての集い・憩いの場といった環境整備が必要となっていた。
処理場上部を市民農園・オープンスペースとして活用するため、目的外使用として5年間期限である。(更新あり)
150区画の募集に対して1.8倍の応募、賃料は3.5万円/区画・年。
隣接する小学校には優先的に3区画を貸与。市民農園のノウハウは鶴見区の市民農園の経験を活用。
農園の貸し出しによる収益を上部利用施設の維持管理費の一部に充当。
市民農園を近隣の学校に貸し出す等により、「ものをつくる学習」の場も提供。
●大阪市城東区地域振興会 諏訪連合振興町会長 小林種美氏

 放出下水処理場に蓋架けして市民利用施設を整備する計画があると聞き、貸し農園や緑豊かな庭園の整備をお願いしました。特に貸し農園は世代を超えた人が集まり、地域コミュニィティの醸成に役立つと考えました。放出市民農園は当連合の住民も多く利用しており、大きく育ったサツマイモをいただいたり、キュウリが収穫できたなどの声を聞いたりしております。
 自分の手で育てた野菜を収穫して食べることは格別のようです。また、連合の中には子供会や老人会で市民農園を利用している町会もあり、利用者同士の交流もあるようで、当初の期待通り世代を超えた親睦の場となっています。この上部利用施設は今後も地域住民の交流の場となってくれるものと考えております。

●大阪市立諏訪小学校校長 青木正明氏
 本校では、生活科、総合的な学習の時間などの教科学習の中で、草花や野菜を育てることを通して、心豊かな子どもの育成に力を注いでいます。
 2年生の生活科では、芋ほり体験のため電車で遠くまで出かけていたので、収穫のみの体験でした。しかし昨年度より、学校からすぐ近くの放出下水処理場市民農園を利用させていただくことができ、地域の方々にも手伝っていただき、苗の植付けから体験することができるようになりました。児童は放課後などに友人や家族と一緒に市民農園を訪れた時に、芋が成長していく様子をみるのを楽しみにしています。秋になって収穫する時にも、地域の方々に手伝っていただき、自然体験だけでなく、地域の方々とのふれあいも深めることができ、子ども達も大喜びです。採れた芋の大きさは小さくても、すばらしい大きな心の育ちに感激いたしております。
●大阪市都市環境局下水道部 処理場課担当係長 大野政和氏

 放出下水処理場上部利用施設の建設に携わりました。この施設は、下水道事業としての特色を出しながら、市民の方にも利用いただける施設の整備を目指しました。そのために、区民の意向や地元からのご要望をもとに検討を重ねました。その結果、上部利用施設においては新たな「市民農園」と「緑地等」の施設を建設することにしました。施設の特徴であります「市民農園」の設計にあたりましては、一般の市民農園を見て回り情報を集めるとともに、水処理施設上部という特殊な場所で先例がないため、実験を行って構造を決定しました。市民農園の募集には多くの方に応募をいただき、様々な作物が作られ、毎日多くの利用者が来られています。また、芝生広場では地元中学校のマーチングバンドが練習するなど、地域社会活性化の一助となっており、初期の目的は達成出来たと考えています。

▲せせらぎや憩いの空間利用
▲市民農園としての利用
財団法人 都市みらい推進機構
〒112-0013  東京都文京区音羽2-2-2 アベニュー音羽ビル3F
TEL.03-5976-5860 FAX.03-5976-5858
メールはこちら