平成元年にJR中央線・東海道本線、名鉄名古屋本線、地下鉄名城線が乗り入れる金山総合駅が整備され、一日あたり35万人の乗降客を有する一大ターミナルが形成された。
整備が遅れていた北口では、地域住民などによる「金山地区のまちづくりを語る会」とともに『金山地区マスタープラン』が作成された。
金山北地区開発プロジェクトは、次の二段階の事業で構成されている
 T:駅前の市道と市有地の位置・配置を組み換え、将来的には本来必要と
    考えられている駅前広場の区画を整える。
 U:将来展望を踏まえつつ、当面の暫定利用として15年間をめどとして
    駅前に交流広場的な機能を整備する。
市道及び市有地を組み換えた後、15年間の事業用借地による交流空間の事業コンペ『金山北地区整備開発提案競技』を実施した。
コンペには7グループの応募があり、地域との連携に根ざした『新しい社会活動の育成の場』をコンセプトとする北山創造研究所・清水建設などのJVが当選した。
当選案に沿って、名古屋市と(財)名古屋都市整備公社が施設整備を行った。
竣工後の維持管理は、(財)名古屋都市整備公社が、15年の事業用借地により名古屋市から土地を借地して、維持管理運営にあたっている。
これにより、駅に隣接して商業施設・広場・交通センターが一体となった集客施設が整備され、年間600件を越すイベントを実施するなど、運営面にも力を入れている。
 

●名古屋市(土地所有者、共同事業者)

 事業に先立ち、市が中心となって地元住民等によるワークショップを開催するとともに、金山地区への来街者の意見や要望を把握し、同地区の土地利用構想を作成した。
 市は、公共施設(道路、バス施設、一般車・タクシー施設等)の整備を、財団法人名古屋都市整備公社(以下「公社」という。)は、交流の場(商業施設、駐車場等)の整備をそれぞれ行った。
 交流の場の整備は、市有地(普通財産)に15年間の事業用借地権を設定し、公社に貸し付け、公社が市の意向を反映した開発を行うことで実現した
 苦労したことは、事業コンペの実施から2年弱という短期間(万博までに完成)で、地元調整を行い、厳しいスケジュール管理のもと事業を進めたこと、バス、タクシー等の運行を行いながら、公共施設を整備したこと等である。
●(財)名古屋都市整備公社 (共同事業者、施設運営者)
 このプロジェクトを進めるに際し、共同事業者である名古屋市とともに地元の皆様にご了解を頂いた整備プランである「地区の活性化による地域のポテンシャルアップ」「駅前広場と商業施設が一体性」「継続的な賑わいの創出」の実現により、金山駅北口は、交通機能のみの広場から人のための広場に生まれ変わりました。
 広場と交通施設と店舗を一体的に整備・管理運営することで、24時間警備および清掃を実現し、快適で清潔な広場空間を実現し、その広場では、毎週末を中心に年間600件の様々なイベントが開催され、アスナルを訪れる人はもちろん誰もが気軽に立ち寄って、思い思いに過ごしたり、新しい出会いを求めたりできる賑わいと楽しさあふれる空間となっています。今後は、より多くの人が行き交い、集う「街の居間」として定着できるよう努力していかなければと考えています。
●竃k山創造研究所(提案競技最優秀提案者代表)
 「アスナル金山」は次世代の駅前モデル事業として開発を進めたプロジェクトです。総合プロデュースという立場で設計、リーシング、販促、運営の全てに関わらせて頂きましたが、立地特性上、乗り換えが便利な反面、既存の栄・名古屋駅に挟まれ、性格の絞り込みが難しく、リーシングには苦労しました。
 しかし、事業主体の名古屋市により、駅前の道路廃止が実現したため、駅にダイレクトに繋がる自然な形での広場の賑わいが形成できました。
 今後は、まちへの浸透・連携により、まち全体のアスナル化を推進していくことが重要です。オープンモールは、寒暖の差の激しい名古屋では難しい面もありますが、周辺に次々と生まれるモールとの差別化を強調するためにも、雨対策等の工夫を重ねながら発展させていきたいと考えております。
▲広場、商業施設、交通ターミナルが一体となった街区構成
▲商業施設に囲まれた広場空間
▲市民でにぎわう広場と商業施設回廊
▲バスターミナルと駐車場などが
一体となった交通センター
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