閉校となった旧池尻中学校の施設利用について住民を交えた検討が行われ、校庭部分及び体育館は池尻小学校に統合、校舎部分は一般向けに有効活用されることとなった。
区内外の複数の組織に意向打診を行い、施設活用及び運営について総合的かつ波及効果の高い提案である「世田谷ものづくり学校」が採用された。
世田谷ものづくり学校は、事業主体であるアールプロジェクト鰍ェ、世田谷区から5年間の定期借家契約で施設を借り受け、テナントにサブリースを行っている。世田谷区からの借家料は、1,000万円/年と比較的安めに設定されている。
アールプロジェクト鰍ヘ、日本政策投資銀行のSOHOコンバージョンに関する融資(ストック・ライフサイクル・マネージメント事業制度)を活用し、施設のコンバージョンを行った。
アールプロジェクト鰍ヘ、サブリース事業として教室を改造したスモールオフィスの賃貸、自主事業としてギャラリーやワークルームをしようした各種イベントを実施している。
世田谷区の協力を得て、創業支援プロジェクトとして創業間もない企業・団体・個人を創業支援スペースに誘致し、企業育成を支援している。
運営にあたっては、テナントと事業者が共通・共感の世界観を持つ事を重視し、運営や創業支援もテナント同士で「うまく利用しあう」ことによる実現を目指しており、ポテンシャルの高いテナントが入居・交流し、自然発生的なプロジェクトも生まれていることが特徴である。
 
世田谷ものづくり学校  松村校長
 そもそも廃校とは、生徒数が不足して、学校運営が立ち行かなくなることに起因しています。しかし、子供がいなくなったからといって、簡単に老人ホームに転用してもよいのでしょうか。こうした疑問にあえて立ち向かい、我々はここで「学校」を営むことにしました。重要なのは、学校が「何をするところか」ではなく、「何のためにあるのか」ということです。新たな価値を生み出すことは、今学校に求められていることであり、その結果として新たなビジネスが生まれるのだと思います。こうした思いを強く持ち、語りかけ、皆さんと共有することにより、初めてコミュニティが成立するのだと感じています。壮大な「学校ごっこ」をしながら、私たちは本当に必要な学校は何かを模索しているのです。
アールプロジェクト(株) 鈴木氏
 戦後の日本の成長を支えてきた社会インフラがその役割を終えはじめています。池尻中学校も数多くの功績と思い出を残して、その役割を終えた「地域遺産」のひとつでした。この貴重な施設を「民間企業」としてどのように再生し、残していくかがこのプロジェクトに課せられた大きなミッションです。
 ただ単に「ハコ」をきれいにするだけでは「再生」は起こりません。また、存続に必要な「収益」を上げていかなければ、「継続」はできません。でも、よいものを作り上げようとすると、手間もお金も時間もかかってしまいます。
 日々葛藤を繰り返しながら、今までにないこの新しい試みは進化を続けています。
▲世田谷ものづくり学校玄関
▲世田谷ものづくり学校内部(廊下風景)
▲ 世田谷ものづくり学校内部(教室風景)
 
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