鎌ヶ谷駅東口では、昭和63年に着手した市施行の土地区画整理事業により、駅前広場とその広場に面して4つの街区などが整備された。
市役所が働きかけて地権者によるまちづくり懇談会を開催し、駅前空間づくりや街区ごとの土地活用などの検討を始める。地権者懇談会(KAOの会)はその後NPO法人となる。
鎌ヶ谷駅東口駅前プロジェクトは、概ね以下の4つで構成されている。
 T:駅前空間整備に関する指針づくりとそれに基づく個々の事業のコーディネイト
 U:指針をふまえた駅前広場整備事業(市役所)
 V:指針に基づく各街区での共同ビル建設事業(地権者)
 W:指針をふまえた市とNPO法人等による駅前空間の維持管理業務

駅前空間整備の共通認識を確認するため、平成11年2月に「東武鎌ヶ谷駅東口駅前空間整備に関する覚書」としてKAOの会全体で締結。9月に「東武鎌ヶ谷駅東口駅前空間整備構想における空間整備指針」を市に提出
これに基づいて、Bブロックでは、NPOが低層階利用・景観等のガイドラインに関する合意形成、資金調達などのコーディネイトを行い、着工、平成12年11月に竣工した。
駅前広場についても、街区でのまちづくりの方向と連携を図りつつ整備が行われた。
平成18年3月にDブロックの建物が竣工し、Aブロックは同7月竣工の予定である。
NPOは、その後街区(マンション)及び駅前広場の維持管理業務を市より受託、一元的な維持管理を実施。また、各種イベントを実施し、駅前のまちづくり活動の中心的役割を担う。
駅前広場の維持管理は鎌ヶ谷市からNPO法人への委託事業であるが、同時に入居済みの(Bブロック)カーラシティ鎌ヶ谷管理組合の環境維持費負担がなされている。
NPO法人により、複数団体を統合した夏祭りの開催、クリスマスイベントをはじめとした様々な駅前広場の管理・運営プログラムが実施されている。それらの活動が発展し、「駅前広場の植栽管理に参加したい」という有志や地元の中学生による「職場体験学習」、地元高校生による「ボランティア体験学習」なども行われている。
共同化のコーディネイト、駅前広場との連動的な整備などをNPO法人のKAOの会が主導
B街区では不動産特定共同事業法と等価交換手法を併用、信用金庫が匿名組合に対してプロジェクトファイナンス型の不動産担保無しの融資を行う。
こうした一連の事業スキームの構築と実施をKAOの会が先導する。
●NPO法人KAOの会 事務局長 下田祥裕氏
 地権者の利益を最優先と考え、その中でハード面だけでなくソフト面を考えたまちづくりの議論を進める中で信頼関係の構築を計ることを第一に考えてまいりました。また行政に対しては要求するのではなく一緒に考え議論の中からお互いに出来ることを行って来ました。その結果として一元的な駅前空間の維持管理組織としてNPO法人KAO(カオ)の会が地権者の皆様の参加により設立することが出来ました。
 またコミュニティー形成を計る工夫の一つとして、共同化ビルの管理費の一部にあらかじめ「景観維持費」を盛り込み分譲マンションに入居する住民に対して、“駅前空間の整備に参加している”という当事者意識を持ってもらうための仕掛けを行っています。その景観維持費に対する考え方は、その後の開発事業者にもご理解頂き踏襲されております。
●地権者代表
 私ども地権者がまとまり、共同化ビルを作ることにより、「まち並みがよくなり結果として資産価値を高めることになる。」 との話に共感し事業参加しました。また自分たちの資産を守ってくれる組織としてNPO法人KAO(カオ)の会の設立にも参加致しました。現在駅前空間並びに共同化ビルの良好な維持管理がなされ、明るく和みを感じさせる駅前となり、また花や緑が四季を感じさせてくれる良い空間となっている現状は素晴らしい事だと思っております。
●鎌ヶ谷市都市整備課 主幹 宗川洋一氏
 区画整理事業などの自治体主導の法定事業では、未だ収支の見通しがつかない状況にあります。そのような中で、事業着手前に将来の土地利用を見据えたかつ民間活力を活用した@コンパクトでフレキシブルな土地活用方策、A共同化事業、並びにBハード面に限らずソフト面(維持管理)も含めた一環としたまちづくりの仕組み、等々を具体的に検討し、同時進行することが必要となってきています。
 これらは法定事業でないため街区住民の100%の合意形成が前提となり、そのためにも、@地域住民と行政がお互いの垣根を取り払って一体となって、A共通のまちづくりの目標を持ち、行政はB地域住民のまちづくり活動に参加していくというという視点(行政参加)で、また共通の目標に向かってCネガティブからポジティブな考え方で取り組むことがより一層求められていると思います。
▲駅前広場のウッドデッキプラザ
市民の憩いの場として活用されている
▲共同化された民間街区
低層部には商業施設や医院などが誘致され、駅前としての利便性、街並み形成を図っている。
▲歩道と民地の連携整備
舗装のデザインを共通化
▲駅前広場、民間街区の維持管理活動
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