道頓堀の象徴であったライブハウス『ナンバー番』跡地の長期閉鎖(現TSUTAYA)や、道頓堀五座の一つである『中座』などが閉鎖する中、沈滞する地元経済の活性化が望まれていた。
都市再生、地域活性化を推進すべく、北山創造研究所・グラフィクス&デザイニング・ソルトコンソーシアムが企画チームを結成し、施設と事業性の検討に入った。
地元客から観光客、子どもからお年寄りまで、ターゲットを絞らずに幅広い客層を対象とした商店街テーマパーク。
商店街テーマパークは、多様な選択肢のある店舗構成とし、京阪神の名店を中心とする個性の強いテナントと、創作したストーリーに基づく物語がある新たな店舗を立ち上げる工夫などを行っている。
浪花座の足跡を受け継ぐ演芸・エンターテイメント系の「ゑびす座」を導入するなど、大阪らしさと娯楽性を高めている。
上層階に集客力のある『道頓堀極樂商店街』を配置することでシャワー効果を実現し、階層に左右されない賃料設定を可能とした。
開発ディベロッパーのアーバンコーポレイションが北山創造研究所を全体のプロデューサーとして起用し、グラフィクスアンドデザイニングによるデザインとソルトコンソーシアムによる企画を核に開発事業にあたった。
開発完了後はサミー株式会社が本物件を取得。自主運営事業とテナント事業によって構成されており、商店街テーマパークの『道頓堀極樂商店街』は、サミー株式会社が自主事業として運営している。
開発にあたっては、ディベロッパーのアーバンコーポレイション他からなる出資者の匿名組合出資とケイマンSPCの有限会社社員持分による特定目的会社(SPC)を設立した。
開発者が土地・建物を含め全体事業費約92億円で出資を募り、事業主体が購入・運営を行っている
事業計画が高く評価されたことから、日本で始めて更地以前の段階でノンリコースローンによる資金調達を実現した。
 
●サミー戎プラザ 道頓堀極樂商店街 館長 黒田順平氏
 関西を訪れる観光客は年間約1億人。そのうちの約60%の方が道頓堀に足を運んでいましたが、大多数の方がグリコの看板などをバックに記念撮影を行い、たこ焼きを食べるだけで帰っていく、という現状がありました。そこで大阪の本当の魅力を知ってもらおう、大阪の街に活気と賑わいをもたらそう、との思いでスタートしたのが、道頓堀極樂商店街だったのです。関西一円の飲食店・約2000店舗から厳選した本物の大阪の味。お笑いをはじめとした様々な伝統芸能。そして人情味あふれる個性的な住人(スタッフ)たち。そのすべてを凝縮した空間は、単なるフードテーマパークという枠を超え、大阪の魅力を存分に伝えうる施設になったと自負しています。
●大阪法善寺こいさん通り商店会 会長
   (株)割烹「花和清」代表取締役 川瀬象策氏
 平成16年7月にサミー戎プラザがオープンし、そのビル設立に当たり、オーナー様は街全体の繁栄を考え地域の意見を取り入れ設計に努力されました。 道頓堀通りから法善寺こいさん通りに通り抜けの路地を造り、裏通りにも花壇を設置し、人の流れを良くして心なごむ街づくりに協力して頂いております。我々町会としまして、その試みは感銘を受け地域に対する貢献を高く評価しています。
 ビル内の5F・6F・7Fにある道頓堀極樂商店街は今の暗い世相を忘れて古きよき時代にタイムアップさせてくれます。また、若者が大阪を知るチャンスとして素晴らしい企画に取組まれたと思います。
 今後、年齢を問わず誰にでも愛されるサミー戎プラザとして向上されますことを期待いたします。
●(株)アーバンコーポレイション
  流動化事業本部 西日本事業ユニット 課長 小田基央氏(企画開発者)
 このプロジェクトは、道頓堀華やかし頃の象徴であった「浪花座」の跡地の活性化を目的とした商業・エンターテインメントのプロジェクトです。「公演を楽しみ、終われば周りの店で飲食を楽しめる」施設としています。大阪の昭和初期のレトロな街並をテーマパークのように再現し、本当の大阪らしさを表現した空間としました。7階の吹き抜け空間では連日道頓堀商店街をテーマとしたショウを行ない、商店街に訪れた人を楽しませており、単なるフードテーマパークではない演出をしています。また、裏通りの「こいさん通り」にもエントランスを設け、周辺の商店街と連携を図る工夫をしました。
▲サミー戎プラザの外観(道頓堀通より)
▲昭和初期をイメージした街なみのデザイン
▲昔懐かしい横丁のイメージ(6階)
 
財団法人 都市みらい推進機構
〒112-0013  東京都文京区音羽2-2-2 アベニュー音羽ビル3F
TEL.03-5976-5860 FAX.03-5976-5858
メールはこちら