周辺には小売、卸売業も多く、定住人口が減少していることから、人を呼び戻し、活気を取り戻したいという地元の意向があった。
神田地域は狭小な敷地が多く、単独で建替えても有効利用できる建物にはなりにくいことから、共同建替えを行うことにより、まとまった面積を確保する必要があった。
老朽化した住宅などを建替えようとしていた地権者を中心に4件の土地を共同化して、それぞれの地権者のニーズを反映した共同建替えと合わせて、コーポラティブ方式により新たな入居者とともに取り組んだ事業。平成12年12月に地権者と入居希望者による建設組合を設立し、翌年5月に着工、約1年余りの工事期間を経て、平成14年5月に竣工。
当事業では、地権者が土地を、入居者が建設費を出資し、出資額に応じて床面積を配分。
事業の推進にあたって、神田を拠点にして住まい・まちづくりに取り組む専門家の集まりであるNPO都市住宅とまちづくり研究会がコーディネーターとして建設組合を全面的に支援。
コーポラティブ方式には、次のようなメリットがある。
間取りや窓の形など、入居者の希望が最大限取り入れられる。
デベロッパーの利益分やモデルハウスが不要など、事業費を安くすることができ、適正価格による住宅取得を可能とする。
入居前から住まいづくりについ て話し合う過程で、交流が深ま り、自然にコミュニティが形成 される。また、それが地域の防 災や防犯などソフト面でのセキ ュリティにつながる。
特に③の点から、地域コミュニテ ィ再生型コーポラティブ住宅であ る。
資金面では、千代田区独自の「建 築物共同化住宅整備促進事業(ミ ニ優良)」による補助制度及び融 資面では、住宅金融公庫の「都市 居住再生融資」を活用している。
●NPO法人都市住宅とまちづくり研究会(略称:としまち研)
 としまち研は、過疎化・高齢化の進行する都市部に住む人を呼び戻し、地域コミュニティを再生することを目的に活動しています。建替えを検討する地権者には、地権者主体で様々なニーズに対応する建替えを実現すること、また、新規居住者には地域活性化を担うことを理解してもらって事業に参加することを目標に、共同建替えにコーポラティブ方式を組み合わせた事業を提案し、事業推進に取り組んでいます。
 COMS HOUSEでは提案の際、私道の評価で地権者と考え方の違いがありましたが、話し合って合意に達しました。また、建設組合でセキュリティについて議論し、価値観は様々でしたが、時間をかけて話し合い皆が納得する方針を決定しました。  
 COMS HOUSEは実績第1号として、町内や他の地域への展開に大きな役割を果たしています。
●地権者
 当初、民間デベロッパーと等価交換方式のマンション計画を検討していましたが、条件が合わずにデベロッパーは撤退。その頃、としまち研の前身の研究会が主催する公開勉強会に参加した地権者が、事業の提案を依頼しました。地権者4名のニーズに対応する共同建替えをベースとした事業方式に賛同し、事業に着手しました。10回前後の総会やその他検討会などで話し合いながら進めていくので、事業の進捗状況を十分把握できるし、入居前から皆が顔見知りになれます。また、建設工事中にバーベキューパーティや竣工時に竣工パーティを開催して地域の方にも参加してもらい、新たな入居者とも交流の機会となりました。地域からも顔の見えるマンションとして安心してもらっています。
●千代田区まちづくり推進部まちづくり住宅課
 行政はまちづくりを考えるときに地域に根ざした計画をするため、そこで生活している街の人たちや活動している団体等の声を聞くことが不可欠だと思います。
 地権者参加型コーポラティブ住宅はその地域に居住されたい方が参加されます。また、その地域にゆかりの深い地権者の方たちも転出せずに住み続けることができる有効な方法です。これらのことから考えると地権者参加型コーポラティブ住宅の活動は地域を理解し、まちづくりに繋げる重要なものです。
コーポラティブ住宅に参加される方はご自身の希望の設計で、神田の街に住み続ける楽しい夢の住まいができます。また、共用部分の設計の共同作業や地域の交流を通して人の繋がりが生まれます。人の繋がりは地域に住み続けながら生活を豊かにするエネルギー源となります。
 
▲工事現場脇の路地でのバーベキューパーティー
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