1980年代半ばに、こみせ通りに面した旧家が手放す土地・建物跡地に、ディベロッパーのマンション計画が持ちあがり、JC関係者など地元有志に危機感が高まる。
1989年に用地を買収し、1990年から「こみせの会」を設立して本格的にまちづくりに乗り出し、伝統的なまちなみを生かした地域の活性化に取り組んだ。
地元有志であるJCメンバー勉強会の20人の個人資金によって土地・建物を取得し、マンション建設予定地を買収し、1990年に「こみせの会」を設立し、まちづくりに取り組む。
こみせの会を発展させた有限会社「商舎」・「こみせ駅」を設立し、旧家の建物などを活用した観光・交流の場「こみせ駅」を1997年にオープンし、横町商店街の裏地(かくじ)を利用した広場整備や回遊路整備を進める。
1998年に「黒石市中心市街地活性化基本計画」を作成し、2000年にはJCメンバー勉強会の20人と商工会議所青年部を中心とする116名の株主によってTMO「津軽こみせ株式会社」を設立、「こみせ駅」の運営を引き継ぎ活性化拠点施設「津軽黒石こみせ駅」として開業した。
津軽こみせ株式会社が中心となり、多くの黒石市住民が応援団として「こみせ」保全・活用の取り組みが続き、平成17年4月には、国の重要伝統建造物群保存地区(重伝建地区)の指定に結びついている。
「こみせ駅」はいわゆる観光土産物を中心とする店舗と休憩所で、津軽三味線のライブをはじめ情報発信的な機能も担っている。
2002年には「多目的ホールこみせん」、「イベント広場じょんがら広場」が整備するなど、まちづくりの発展的展開に努めている。
 
●津軽こみせ(株)技術顧問 弘前大学教育学部副学部長 教授 北原啓司氏
 「こみせ」にかかわる人々は、その存在意義をあまり意識しないままに、気がつくとすばらしい「まち育て」を続けてきています。私は、それを時々、大声を張り上げて気づいてもらう応援団でした。道路と敷地との境界部の「こみせ」にこだわるまちづくりから、「かぐじ」と呼ばれるパティオのデザインにまで、彼らの志向は次々に広がっていきました。応援団の出る幕はなかったように思います。ところが、昨年後半に、突然木下啓一社長が急死されました。ご冥福をお祈りするとともに、今こそ、応援団の仕事が重要な時であると考えている今日この頃です。
●津軽こみせ梶@総務 中村瞳美氏
 当事業実施により、飲食、物販、常設の三味線演奏、観光案内、イベント開催等、多機能を備えた活性化拠点が整備され、これにより街の回遊性、来街者の滞留、周辺施設への波及効果等を実現することができました。今では観光バスの立ち寄り機関としても認知され、多くの方々にご利用いただいております。今後は一事業者としての存続を維持するため、TMO事業と収益事業との両立を図り、更に多くのソフト事業に力をいれていく必要があります。弘前大学の北原教授を中心としたサポーターの会「こみせ楽談」と連携して、より黒石らしい街づくりを目指し努力を続けていきたいと思っております。
●黒石市商工観光課 主事 成田晃一氏
 当市はこれまで「こみせを核にしたまちづくり」を中心市街地活性化のテーマとして施策を展開し、市歴史的景観保存条例の制定(H16)、国重要伝統的建造物群保存地区の選定(H17)により、こみせ通りの保存・修復を推し進めております。
 当市のまちづくり会社である「津軽こみせ株式会社」は、こみせ通りにその活動拠点を構え、津軽じょんから節発祥の地として津軽三味線の後継者育成や、黒石の地産にこだわった商品開発を行うなど、まちづくり活性化拠点として重要な役割を担っております。
 今後は、文化財保護の視点と観光拠点としての振興を、どのように組み合わせるのが市にとって一番有益なのかを、官民一体となって協議・検討しなければならないでしょう。
▲津軽黒石こみせ駅 外観
▲津軽黒石こみせ駅 店内
▲こみせんとじょんから広場
▲音蔵こみせん ジャズライブ
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